マリンライナーで、思い出の海を渡る | 山陽横断記 #6

私の鉄道を歩いて語りたい

鉄道ファンなら誰しも、いつか乗ってみたい電車があると思う。私と同じ世代ならブルートレインがその代表格だろう。いつかはと夢見ていた子ども時代。大人になってお金を貯めた頃にはいつの間にか全廃…。

なくなってしまったものは仕方がないが、乗れるものにはすぐさま乗っておくべき、私が学んだ教訓だ。

前日はスケジュールが押しに押していたが、2日目は想定よりも時間が余り、エクストラステージへ突入。

観光か食かと悩んだ末、鉄道を選択。岡山から乗れる路線・電車で真っ先に浮かんだのは、瀬戸大橋線を走るマリンライナーだった。

瀬戸大橋の横断は何度も経験があったのだが、すべてが車。(ドライブ好きの両親なのが大きい)
鷲羽山、与島、記念公園などから瀬戸大橋を眺めたときに、流しそうめんのように鉄骨の内側で細く流れていくマリンライナーを見る度に、いつか乗ることを夢見ていた。

間違いなく今がそのチャンス。四国まで行ったら交通費が…なんて考えている暇はない。気づいたら岡山駅の改札を足早に駆け抜けていた。

快速マリンライナー(画像先頭が指定席1号車)

岡山駅のに着くと既にマリンライナーはホームで発車待ち。7・8番ホームへ急ぐ。

マリンライナーの6号車より

いちばんの驚きは、指定席の1号車(5100形)と普通席の2〜6号車で見た目が全く異なること。シルエットは5100系が丸みを帯びているのに対して、ほかの車両は丸みの中に尖りが残る。塗装は銀ベースは共通しているものの、5100形は黒と青。対してほかの車両は白、クリーム、青。1号車だけ異質するぎるのに、この編成がテンプレートであることが面白い列車である。

先頭の1号車は瀬戸大橋パノラマビューを楽しめる指定席。「予約できれば前面展望確約や!」と意気込んで予約ページを開いたものの、当然満席。その次の便も満席。さらにその次も…。

私は空席の目立つ最後尾の車内で、一人だけ乗務員室前に立ち、後面展望を楽しむことにした。

配線の撮影のため、茶屋町駅、児島で降車。児島ではアンパンマントロッコや貨物列車とも遭遇できて幸運だった。

黄色いアンパンマン列車
アンパンマントロッコ(臨時)
四国から海を渡ってきた貨物列車

そしていよいよ、高松行きマリンライナーに乗車。当然後面展望である。

アナウンスが流れる。次の停車駅は坂出。つまり、瀬戸内海を越えた香川県に向かうのだ。

これから海を越えるというのに、高架を走っていたはずが、地面がだんだん線路へと迫る。気づけば線路は地上へ。ついにはトンネルへと突入。本当に海を越える路線に乗れているのかと心配になってくる。

しかし、その瞬間は突然訪れる。

トンネルを抜けると、車両は既に鉄骨の「中」。

トンネルを抜けてすぐの後面展望

我々がいる空間を取り囲む四角い鉄骨は、肋骨のように並び、その背骨の上に敷かれたレールに沿って、車両は軽快に走っていく。これが、瀬戸大橋である。

自動車道路は橋の上を走るが、鉄道線路は内側を走るため、上は暗いのに左右は明るい。

幼いころ自動車で瀬戸大橋を渡ったとき、父親が「この下に電車が走ってんねんで」と教えてくれた。当時は二重の橋なんて見たことも聞いたこともなかったので(関空連絡橋も知らなかった)、言っている意味を理解できていなかった。

車両は本州を出て、鷲羽山が遠のいていく。小学校の修学旅行で行った鷲羽山ハイランドが一瞬にして小さくなる。当時はマリンライナーのことを知っていただろうか。

反対側には社員旅行で昼食を頂いたレストハウスが見えた。瀬戸大橋を見て、その下段の線路を見てワクワクしつつも、同僚の前ではその興奮を抑えていた。

瀬戸大橋から見える本州

広大で終わりなんてないんじゃないかとも思える瀬戸内海の真上を着実に渡っていく。(後面展望だからとか言う話ではない)小さい島を通過する度に少しづつ進んでいることを実感する。

島ごとに天井の高速道路からぐるぐるとループした出入口が上から下まで続いていく。与島のような休憩所のある島だと出入りする車も見られて、電車に乗っている我々以外にも瀬戸大橋を渡る人達がいるのだと気づく。かつて、与島の休憩所で橋を見上げて、マリンライナーが来るまでひたすら待った記憶が蘇る。

与島を抜けたところ。瀬戸大橋は結構くねくねしている。

そしてたどり着いた陸地は、右手に工場が、左手にはタワーが見える。タワーはドーナツ型の展望席がくるくる回りながら下っていく。大学生の頃、落ちないか不安になりながら乗った瀬戸大橋タワーだ。

そこでようやく四国へ着いたのだと確信する。電車で初めて瀬戸内海を渡り、私は四国へとやってきたのだ。

視界上部の高速道路から抜け、車窓は明るくなる。線路が分岐して右へと外れていく。すぐに左からやってきた線路と合流。宇多津方面の線路と分岐して、予讃線高松方面の線路に合流したのだった。

高速道路と鉄道部分が分離するところ

そしてようやく車両は減速して、坂出駅へと停車。私はそこで下車し、しばらくの間、普段見ることのないJR四国の列車たちが駅を行き来するさまを眺めていた。

坂出駅
特急いしづち。黄色い円形の顔がかわいい。

1時間弱、ホームで居座ったのち、再びマリンライナーに乗車して、来た道のりを戻る。旅の疲れも相まって気づけば眠りについていて、次に気づいたときには岡山駅の近くまで来ていた。

新型車両のやくも。
ラ・マルしまなみ。

これまで積み重ねてきた瀬戸大橋近辺の思い出たち。その度に夢見ていたマリンライナーにようやく乗れただけでなく、当時の記憶が束になって迫ってきて、新鮮さと懐かしさが両方味わう、何とも珍しい体験だった。

今回の旅行はこれでタイムアップ。岡山から新幹線に乗って大阪へ戻る。

6回に分けて書いた旅行記もこれで終了。次はどんな景色に出会えるだろう。その時はまた、m.p.noteで。

 

 

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